東欧アニメと聞いて思い浮かぶものは・・・
意外と難しいかもしれませんね。
東欧アニメという言葉自体に
あまり馴染みがないかも知れませんが
なんとなくゆったりしたような、温かいような、朗らかなような・・・
そんな感じがします・・・?!
東欧アニメには、実はとても愛らしく微笑ましい
アニメーションがたくさんあるのです☆
今回ご紹介させて頂くのは、そんな東欧アニメの魅力を
紹介した企画展です♪
◆◆◆「東欧アニメをめぐる旅 ポーランド、チェコ、クロアチア」 展◆◆◆
期間: 開催中~ 2015.1.12(月)
休館日: 12月29日(月曜)~1月3日(土曜)
開館時間: 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
場所: 神奈川県立近代美術館
神奈川県三浦郡葉山町一色 2208-1
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2014/animation/
ようこそ 東欧アニメの世界へ!
2度のアカデミー賞を獲得したアニメーション・スタジオ「セ・マ・フォル」の拠点
ポーランドの工業都市ウッチ。イジー・トゥルンカなど
人形アニメーションの伝統を誇るチェコの首都プラハと
カレル・ゼマンやヘルミーナ・ティールロヴァーが活躍した
東部の都市ズリーン(旧ゴットヴァルドフ)。
第二次世界大戦後に新聞漫画家や画家が集まって
アニメーションを作り始めたクロアチアの首都ザグレブ。
これら東欧の3カ国をとり上げ
それぞれの個性と伝統あるアニメーションを紹介するとともに
現代のアニメーション作品も展示します。
会場上映作品リスト+マップ(PDF/580KB)
ボリス・コラール監督
『ワン・ワン』(1964年)セル画
ボジヴォイ・ゼマン/カレル・ゼマン監督
『クリスマスの夢』(1945年)
provided by National Film Archive
● ポーランド共和国 Republic of Poland ●
セ・マ・フォルは、ポーランド中央部
かつて繊維工業の中心地として知られ
今なお石畳とレンガの街並を残すウッチに1947年に設立された
ヨーロッパで最も歴史のあるアニメーション・スタジオのひとつです。
人形によるストップモーション・アニメーション制作を得意とし
これまでに850本を超える作品を生み出しました。
ズビグニュー・リプチンスキー(1949-)監督の
『タンゴ』(1980年)と
スージー・テンプルトン(1967-)監督の
『ピーターと狼』(2006年)により
アカデミー賞短編アニメーション部門で2度の栄冠を得ています。
近年は、自主企画のみならず
欧米や日本を含む海外のアニメーションの制作にも活動の幅を広げています。
その他、マレク・スクロベツキ(1951-)監督の
『ダニー・ボーイ』(2010年)
クシシュトフ・ブショゾフスキ(1956-)などが監督した
子ども向けアニメーション『フラッパーと友達』(2013年)
などの現代作品を通してポーランドの誇る
人形アニメーションの豊かな表現を紹介します。
マレク・スクロベツキ監督
『ダニー・ボーイ』(2010年)
● チェコ共和国 Czech Republic ●
チェコのアニメーション草創期に広告アニメーションから
実験的なアニメーションまで幅広く製作した
カレル・ドダル氏(1900-1986)。
かつてドダルの創作と私生活のパートナーであり
後に、ズリーン(旧ゴットヴァルドフ)で
『アリのフェルダ』(1944年)など
人形アニメーションを撮ったヘルミーナ・ティールロヴァー氏(1900-1993)。
焼失したティールロヴァーの作品をヒントにズリーンで
『クリスマスの夢』(1945年)を撮り、後に『悪魔の発明』(1958年)など
コマ撮りと実写を組み合わせたSF長編映画で一世を風靡した
カレル・ゼマン氏(1911-1989)。
戦前から挿絵や人形劇で活躍し
戦後まもなくアトリエ・フィルム・トリクでアニメーション映画を手掛け
『チェコの四季』(1947年)を始めとする人形アニメーションで
国際的に高く評価されたイジー・トゥルンカ氏(1912-1969)。
シュルレアリスムの表現としてのクレイ・アニメーションによって
独自の世界観を築いたヤン・シュヴァンクマイエル氏(1934- )。
チェコのアニメーションに国際的な高い評価を与えてきた、これらの魅力的な個性に加えて
現代チェコを代表するアニメーション作家
ミハエラ・パヴラートヴァー氏(1961- )の
『レペテ(反復)』(1995年)を紹介します。
ミハエラ・パヴラートヴァー監督
『レペテ(反復)』(1995年)原画
● クロアチア共和国 Republic of Croatia ●
1956年にアニメーション・スタジオを設立したザグレブ・フィルム。
そのグラフィック表現が特徴的な作品群から
アカデミー賞短編アニメーション部門で海外作品として
初めて受賞したデュシャン・ヴコティチ(1927-1998)監督の
『エアザッツ(代用品)』(1961年)
ボリス・コラール(1933-)監督のシンプルに描かれた
犬と猫の親子が可愛らしい『ワン・ワン』(1964年)と
戦争の影に怯えて軍拡に進む国家を風刺した『ブーメラン』(1962年)
ズラトコ・ボウレク(1929-)監督がイタリアと合作した『猫』(1971年)
ネデリコ・ドラギッチ(1936-)監督の『トン・トン』(1972年)
ヴラディミル・ユトリシャ氏(1923-1984)と
アレクサンドル・マルクス氏(1922-2002)の
共同監督による『悪夢』(1976年)
クレシミル・ズィモニッチ(1956-)監督の『蝶々』(1988年)などを紹介します。
とりわけ、『ブーメラン』のストーリーボード約190点とセル画約50点は
この展覧会のための日本側の調査で
ザグレブ・フィルムの倉庫から文字通り発掘されたものです。
ボリス・コラール監督
『ブーメラン』(1962年)セル画
デュシャン・ヴコティチ監督
『エアザッツ(代用品)』(1961年)セル画
カレル・ドダル監督
『フィリックス・ザ・キャットの新たな冒険』
『アリのフェルダ』(1944年)を制作する
ヘルミーナ・ティールロヴァー
provided by National Film Archive
ズラトコ・グルギッチ監督/他
『バルタザール教授』(1977-78年)セル画
クシシュトフ・ブショゾフスキ監督/他
『フラッパーと友達』(2013年)
ズラトコ・ボウレク監督
『猫』(1971年)セル画
海外スタジオの貴重なセル画、原画を見ることが出来るのは
そうそうない機会だと思います。
日本とはまた違ったセルが、原画のなかに
そのかわいらしい魅力がつまっていますね!
冬休みに、お子さんとご一緒に楽しんで頂くのも良さそうですね☆
(c)The Museum of Modern Art, Kamakura & Hayama