【BOOK・書籍】現代日本紹介図書シリーズ翻訳出版100冊 中国版

 最近、コンシェルジュ・バミのもとへ、中国の方や中国関係のビジネスをされている方から

問合せや相談が多いので、中国におけるマンガ展開に関して、日本財団さんの取り組みを

紹介したいと思います☆

日本財団さんでは近代日本を知る英文図書100冊を各界の有識者に選考してもらい、

絶版図書の再版や海外の出版社発行の入手も含め、100冊全てを揃えることを達成されました。

それらの図書は予想以上に好評で海外の大学図書館や公立図書館からの要望・注文が多数あるということです。

そうした活動は中国においても行われていて、近代日本を知る図書100冊の選定が行われ、中国語での翻訳出版を開始しています。

社会科学院文献出版社、北京大学出版社、南京大学出版社などの協力を得て昨年からスタートして既に8冊が翻訳され書店に並んでいます。

中国側推薦図書・21冊

<出版済み>
1『日本文化の歴史』 尾藤正英・岩波新書
2『戦後マンガ50年史』 竹内長武・筑摩書房(ちくまライブラリー101)
3『戦後日本の大衆文化』 鵜飼正樹、永井良和、藤本憲一編・昭和堂
4『ホーンブック地方自治』 礒崎初仁、金井利之、伊藤正次・北樹出版
5『富士山と日本人』 青弓社編集部 編・青弓社
6『ケータイ小説的。“再ヤンキー化”時代の少女たち』 速水健朗・原書房
7『日本経済史1600-2000 歴史に読む現代』 浜野潔他・慶応義塾大学出版会
8『日本文化における時間と空間』  加藤周一・岩波書店

<出版作業中>
9『国債の歴史』 富田俊基・東洋経済新報社
10『近代都市公園史の研究―欧化の系譜』 白幡洋三郎・思文閣出版 
11『政策型思考と政治』 松下圭一・東京大学出版会
12『安全保障学入門 新訂第四版』 防衛大学校安全保障学研究会編・亜紀書房
13『反古典の政治経済学 上・下』 村上泰亮・中央公論社
14『入札改革 談合社会を変える』 武藤博己・岩波新書
15『日本の官僚人事システム』 稲継裕昭・東洋経済新報社
16『日本アニメーションの力 : 85年の歴史を貫く2つの軸』 津堅信之・NTT出版
17『日本文化論 : 美意識と歴史的風景』 奈良本辰也・角川書店
18『和食と日本文化 : 日本料理の社会史』 原田信男・小学館
19『ゼミナール国際経済入門』 伊藤 元重・日本経済新聞社
20『大学の誕生』 天野郁夫・中央公論社
21『茶道の歴史』 桑田忠親・講談社

日本側推薦図書・22冊
1『新装版 合本 公害原論』 宇井純・亜紀書房
2『日米通貨交渉 20年目の真実』 滝田洋一・日本経済新聞社
3『外交の力』 田中均・日本経済新聞社
4『思考の整理学』 外山滋比古・ちくま文庫
5『高齢者は暮らしていけない』 結城康博・嘉山隆司・岩波書店
6『皇室制度を考える』 園部逸夫・中央公論新社
7『憲法入門』 長谷部恭男・羽鳥書店
8『戦後日本外交史』 五百旗頭真編・新版、有斐閣
9『知識人(20世紀の日本・11)』 坂本多加雄・読売新聞社
10『靖国戦後秘史-A戦犯を合祀した男』 毎日新聞「靖国」取材班・毎日新聞社
11『日本社会の歴史』 網野善彦・(上・中・下)岩波新書
12『カムイ伝講義』 田中優子・小学館
13『ナマコの眼』 鶴見良行・筑摩書房
14『琉球王国』 赤嶺守・講談社選書メチエ
15『満州国の首都計画』 越澤明・(ちくま学芸文庫)筑摩書房
16『財政学』 神野直彦・(増補版)有斐閣
17『国債の歴史』 富田俊基・東洋経済新報社
18『地方分権改革』 西尾勝・東京大学出版会
19『租税論の展開と日本の税制』 宮島洋・日本評論社
20『現代税制改革史―終戦からバブル崩壊まで』 石弘光・東洋経済新報社

そのなかでも注目なのが、中国側から選定された

「戦後マンガ50年史」

【原著】
竹内長武『戦後マンガ50年史』筑摩書房(ちくまライブラリー101)、1995年

戦後マンガ50年史 日本紹介図書100冊 翻訳シリーズ中国版

【中国語版】
竹内长武著/ 李斌译 《战后漫画50年史》南京大学出版社,2010年

戦後マンガ50年史 日本紹介図書100冊 翻訳シリーズ中国版

【選者の評】いわゆる日本の大衆文化は中国の若者に人気がとても高く、かなりの日本語学習者は日本のアニメ・マンガの影響で日本語の学習を始めたそうです。今までに日本のマンガ作品が大量に中国に入ってきていますが、日本のマンガ史あるいはマンガ理論の翻訳紹介は極めて少ないのが現状です。本書は物語マンガの引き起こした各種の事件を手掛かりに戦後最大の大衆文化=マンガの誕生からの50年間の歴史をたどっています。日本の戦後マンガの流れを知る格好の入門書として、現在のマンガの人気の高さと歴史紹介のアンバランスの改善に役立つと思います。

選者の評を総括すると、「日本のマンガ文化の発展に関して深く興味をもっている」ということだと思いますが

最近では日本のアニメ、マンガ学校に、中国や韓国からの留学生が増えています。

「MBAを取得するなら○○」、「バイオ研究をするなら○○」、「宇宙工学を学ぶなら○○」といった具合に

「マンガを学ぶなら日本!」と、世界最高峰の技術を習得するために、日本に留学しているようです。

マンガを学ぶならハリウッドではなく日本なのです☆

また、こちらの図書が選定されたのも、興味深いです。

【原著】
速水健朗『ケータイ小説的。“再ヤンキー化”時代の少女たち』原書房、2008年

ケータイ小説的 あゆ郊外 日本紹介図書100冊 翻訳シリーズ中国版

【中国語版】
速水健朗著/汪平,陈乐兵译《手机小说的秘密》南京大学出版社,2010年

ケータイ小説的 あゆ郊外 日本紹介図書100冊 翻訳シリーズ中国版

【選者の評】日本の「ヤンキー」をはたして文化と呼べるかどうかはともあれ、ケータイ小説は、ケータイが生み出した人間関係を描いた小説だといえる。本書は、なかなか的確にケータイ小説の背景を抉りだし、今どきのティーンエージャーたちの生態を浮かび上がらせることに成功している。同時に、そこでなされるローカルコミュニティをめぐる分析は、現代の日本の若者たちの文化と生態について、興味深い視点をわれわれに提供している。いまの時代、中国の若者たちもみな、ケータイ、MSN、ブログなどのネット文化に熱中している。そうしたネット文化は、いずれも文化にはちがいないが、「主流文化」に対して「別文化」(alternative culture)ないし「反文化」(counterculture)などといわれている。そのうちはたして、どれが良いもので、どれが悪いのか。あるいは、どう接するべきなのか。それが今日の大きな問題だといえる。この本を読むことで、社会構造の変化とケータイ小説の背景が結びついて生まれた、現代のヤンキー文化がより深く理解できる。中国の読者にとっても、この本の内容を鏡に、中国の「ヤンキー」文化を正しく捉え、さらにはグローバルな視点から文化論を展開し、多文化共生の道を構想する機会とするにも格好の本といえよう。

日本の携帯産業は日本語という文字文化とともに、「ガラケー」といわれる

独自の文化、技術的発展をしてきたことが、中国の若者の現状、嗜好性とあいまって

ある種のモデルケースとして注目されているように思います。

    

オフショア開発や中国進出・流失などが叫ばれますが

マイナスな側面だけでなく切磋琢磨ということで、

アニメ産業、マンガ産業、コンテンツ産業の発展に

プラスになるよう、コンシェルジュ・バミもその一因として

頑張っていきたいと思います☆

(c) 1998-2009, The Sasakawa Japan-China Friendship Fund/The Sasakawa Peace Foundation

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